久しぶりに怖い夢を見た。
僕のことを大好きな男の人に追いかけられてて、しかもお腹が痛い。その前から続いてる大分長い夢だったんだけど、忘れた。
男の人はメガネの痩せ型、清潔感はあって笑顔は控えめ、でも別に好きではないっていうか知らない人。
毎度思うが、僕の夢に出てくる知らない人の顔ってどうやって作っているんだろう。
困ったなぁと思いつつ古い木造校舎に逃げ込んだ。
明るくて朗らかな感じがするいいところだった。
個室トイレを見つけて入ったはいいが、学校にも似ず普通の家庭のような廊下と直に面している造りだ。
男の人は追い詰めたと言わんばかりにドアノブをがちゃがちゃやる。
恐くなって手で押さえる。お腹は痛い。後ろの壁の向こうからは洗濯機を回す音が聞える。
途端にノブを押さえる力がすっと抜けたかと思うと、ノブがドアからどんどん抜け落ちていく。
ノブはペン立てからペンを抜くような感じでするすると棒状に分解されていく。
ドアの向こうで声がする。
「ようやく追い詰めた。これであとは流すだけだ」
訳が分からない。僕のことを好きだったのではないのか。どうして部屋ごと流してしまうんだ。
思えばあの音は洗濯機の音ではなくトイレを丸ごと流す機械の音だったのだ。
トイレは流れに身を任せてガラガラと流れていく。
僕は鈴の玉のように壁に打ち付けられる。お腹は痛い。水の音が聞える。男の人の声は聞えない。
困ったなぁと思っていたら目が覚めた。
ドアノブが抜け落ちるところと水の音が恐怖ポイント。
その音で目を覚まして、気が付くとひじに傷がある。
なんの傷だかわからない。
そういえばお風呂に入ったとき、既にひりひりしていたような。膝にもそんな擦り傷があったような。
この二つの符号が意味するものを考える。
これは僕が寝ている間に布団から抜け出でて家中を這い回っているということではないだろうか。
傷の具合からして表には出ていないようだが、フローリングをしばらく這い回ればこのぐらいの擦り傷は出来よう。
これはこれで困った。なんでそんなことをするんだ寝ている僕は。寝ていろよ。
事と次第によっては簀巻きにしてから寝かせるしかないかもしれない。
