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勝手に反省会 エンタメデュエル

最大の問題点は、エンタメデュエルでしょう。
放送開始前はもちろん、開始直後からずーっと言われ続けていた「勝ち確煽り」が結局改善しなかったってのはどうかと。


そもそも「デュエルをショーにする」っていうコンセプトがこれまた難しいんですよ。
デュエルはデュエリスト同士が「真剣に戦っている」から観ていて面白いわけで、観客主体にしてしまうとそれはもう「デュエルでショーをしている」だけなんですね。
それを実践するにはデュエリスト同士の協調、つまり「真剣にショーを行う」スタンスが求められるわけで
これが成立した試合は面白いんです。遊矢vs沢渡(舞網CS1回戦)とかね。
逆に前者に当てはまるのは黒咲vs素良(同)ですか。*1そこから自然と生まれるエンタメ性も合わさって屈指の名デュエルになりましたね。
つまりは、"エンタメに拘るのが遊矢しかいない"ってのが問題だったのです。
それを主人公の色にしようとしたんだとは思いますが、それだと破綻してしまうんですよね。それほどにエンタメデュエルは脆い。


「勝つまでのプロセスで魅せる」っていうのはいいんだけど
逆境で歯を食いしばってるのに勝ちが確定してから「L&G」だとただ勝ち誇ってるだけにしか見えないんですよね。
必ずしも勝ち確じゃなくてそのカード1枚でランダムに決着がつく場合もあったけど、問題はそこではなく。
エンタメするんであれば一貫させなきゃいけないんだけども、そこに拘る様子が描かれなかったのも残念。
好例がデニス・ジャックで、このエンタメは終始一貫しているので、エンタメとして観られるんですね。
これを手本に成長してくれるのかと思いきや、全然そんなこともなく。
振り子メンタルってのも悪くないんだけど、それをデュエル中に露骨にやっちゃいかんのですよね。
内面でだけの描写に止めて、観客には仮面つけててもらわないと。デニスではそれが描けてるのになぁ。
それをエンタメデュエル失敗例として1回やるのは面白い。そこから苦悩が生まれる。ただ全部それじゃただの嫌味な奴でしかない。
vs勝鬨で「こんなのエンタメじゃない」となっても、そこには「勝ち方に納得がいかない」って程度の意味しかなくて
それ以降エンタメのあり方を考える様子もない。描くべき葛藤はここだったんじゃないですかね。
そしてこれも問題で、いつまでも「父さんのエンタメ」としか言わない。最終回付近でも「遊勝のエンタメ」みたいな言い回しがあったのには絶句しました。
零児・ジャックと師匠格のキャラが「己のエンタメを見つけろ」と散々忠告してきた結果が、それですか、と。
その原因というのは、製作者側でも「遊矢のエンタメとは何か」が掴めてなかったからとしか考えられないんですね。
遊矢の苦悩を乗り越えさせる導き手としての役割を放棄していた以上はそう判断せざるを得ない。
せめてゴールとそこへ至るステップが初めから用意できていればこんな成長のない主人公にはならなかったのではないだろうか。


加えてエンタメデュエルの開祖であるはずの父・遊勝とのデュエルがなかったこと。
もう主人公を描く気がないとしか。
主人公が目指すテーマで父越え・本家越えとかいう激アツ展開を放棄して他に何を描くというのか。
かと思えば最終回はその引き。いやいや遅いってば。
多くの点で「素材は良かったのに」と言われるけれど、その最たる箇所としてはここをおいて他にないと思う。
行方不明の父、はるか高みの目標、冒険の末再会、これをドブに捨てる作品が他にあったら是非伺いたい。


エンタメはやはり遊矢の成長とセットで考えたい部分ですね。
これこそ最も重要なテーマだと思っていたんですが、それに向き合う鉄の強さも鋼の意志も感じられなかった。

*1:この時期は本当に名勝負が多かったなぁ・・・