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屑の都

Choromeさんの挙動がなんか変なような。
画面の文字が大きくて読みにくい。こんなもんだったっけ。0.8倍ぐらいにして欲しい。


芥川龍之介の『偸盗』を読み終わった。短編集の一本目を読み終わっただけなのだけど、
これが面白かった。『邪宗門』のほかはまぁまぁ程度の評価だった芥川作品でずば抜けて面白かった。
人間のクズを書かせたらいいのかもしれない。これが代表作でないのが不思議でならない。
ぶっちゃけ『地獄変』のおまけぐらいに思っていた作品でこれほど楽しめるとは思っていなかった。
で感想文ないかなと軽く調べたら、えー・・・、作者お墨付きの失敗作・・・?
もしかして邪宗門といい、芥川の失敗作が僕の好みなのかしら。
具体的な理由は研究されてないのかちょっと出てこない。
まさか本人がそう言ったから考察の必要なしとか考えているのではないよね読書家さん文学者さん。
物語性というか、エンターテイメント性が他の作品より抜きん出ているように感じた。邪宗門も同じだな。
多くの個性的な人物、勢いのある筆致から、ここぞのタイミングで場面転換する冷静さ、
最終局面へ目一杯盛り上げていってからストンと心地よく落ちる結末。
猪熊の爺の死に際が特に良かった。僕が死ぬときはこういう気持ちになるだろうと思っていた。
確かにクズどもがあっさり改心しているかのような部分に思うところがないわけではないけど、
沙金は物語上殺さないといけなかったしその対比としてそういう演出も要ったのだろう。
この作品について修正可能な箇所というのはないと思うし、
書きたい内容が書けなかったというのであれば最初の一文字目から間違っていたのだと思う。
それなら確かに「失敗作」というのも頷ける。
ただこうして完成・発表された作品として、必ずしも『羅生門』の続編として書かれていない作品として、
一個の独立した作品として見るのであれば、そこに文豪の技巧を見出すことは難くないのではないだろうか。


「ちゅうとう」は変換も出来ないけど普通に読めていた。知らない字のはずなのに。
なんでだろうと考えて「真鍮」の字と似ているせいだと気がついた。
「偸む」という字は「人目を偸む」とかでは優先して使われるし、知らないようで知っている漢字だった。