抜け骨

朝、洗面台に向かうと頭から白髪が一本ぴょいんと立っている。
僕の毛らしからぬ自己主張の強いやつだが、そう露骨に飛び出ていては抜くしかない。
苦もなくつまんでひょいっと抜いてしまった。
が、その後なんだか抜いたあたりがもぞもぞする。
実際に抜いたあたりなのかもわからないが、どうにもその辺がもぞもぞする気がする。
すぐさま次の白髪が生えてきて、すぐさま頭から飛び出して、すぐさま抜いてしまって、
そういうサイクルの口火を僕は切ってしまったのではないだろうか。
白髪というけど魚の小骨のようにも見えるこれは実は僕の頭蓋骨で、抜くたび生えるたびに僕の頭骨から削りだしているのではないだろうか。
最終的に頭蓋骨をなくした僕はタコになって海へ帰っていくのだった。
なんだかいい話風にまとまってしまった。